諸外国の核シェルター事情(スウェーデン・イギリス・シンガポール)

総務省消防庁の資料をもとに、諸外国の核シェルター事情をご紹介します。

スウェーデン

建築基準法により、核シェルターの設置基準を規定。ビルにはシェルター(地下室)を設置しています。
地下に巨大な駐車場 上下水道、配管、自家発電、簡易トイレを設置。学校などの公共施設にも市民シェルター(核シェルター)があります。
家庭用のシェルターは、国民は、平常時は物置として使用しています。

スウェーデンの人口約908万人に対して、核シェルターの数は720万人分あり、人口の81%をカバーしています。

下の写真は、スウェーデンのストックホルムから数マイル内にある「The Pionen White Mountains bunker」という地下施設です。1970年代に、地下30mの深さに核シェルターとして建設され、スウェーデンの民間防衛施設として使われていました。

現在は、インターネットサービスプロバイダーのデータセンターとして使われています。ウィキリークスも、この施設を利用しています。

 

入口(出典:Distractify)

イギリス

1948年、民間防衛法が制定され、シェルター建造を地方自治体に義務化。 2004年、緊急事態法施行に伴い、民間防衛法は廃止されました。人口に対するシェルター普及率は67%。

防空シェルターとして造られた地下建造物は7 基。

有事の際に指揮をとる任務にあたる政治家や政府高官のためのシェルターは完備しているものの、公共の場にシェルターはありません。しかし、イギリスの地下鉄がシェルターとなっています。

そのほか、イギリス政府はサッチャー政権時代の1980年、国民に向けて『「 Protect and Survive」(核戦争を生き抜く方法)』という小冊子を発行し、その中に、自宅の奥まった部屋を核シェルターとして使用し、2週間そこで暮らせるように、少なくとも48時間はそこに待機するようにと、備蓄などについても詳しく解説しています。

※「 Protect and Survive」PDFダウンロード http://digitalarchive.wilsoncenter.org/document/110193.pdf

核爆発から身を守る初期動作
自宅の一室をシェルターにする方法

核戦争後の世界を描いた漫画『風が吹くとき』を描いた漫画家、レイモンド・ブリッグズもイギリス人です。後に映画化もされましたが、この作品の中に出てくる「家庭用核シェルター」の描写は、イギリス政府が発行したこの小冊子がベースになっています。

また、下の動画は、核攻撃を受けた時にBBCが放送するために、1970年代にPeter Donaldsonアナウンサー(BBC Radio 4)の声で録音した音声の一部です。2008年に発表されたこの音声が、北朝鮮による核攻撃の危機が高まった今、ふたたび注目を浴びています。

シンガポール

1997年に「シェルター法」を制定。
家庭内シェルター(household shelter)、 フロアシェルター(storey shelter)、 公共シェルター(public shelter)を設置しています。

シンガポールは、周辺国にいつ攻撃されてもおかしくないという危機感を持っているので、全ての家に核シェルターの設置を政府が義務づけました。しかし、シェルター法の制定が1997年と最近であるためか、普及率は57%です。

マンションにも、核シェルターの設置が義務づけられているので、シンガポールには、Bomb Shelterという厚い壁と扉で覆われた部屋があることが多いようです(右写真)。このマンションでは、普段は家政婦さんの部屋や物置として使われているそうです。(出典:https://wakuwork.jp/archives/6674)

 

また、業者に技術の向上を要請し、通常の階段のデザインに少し手を入れて火災用の非常階段をシェルター用に利用することも可能となりました。

シンガポールの地下鉄のうち、一部の駅は「CD駅」 (Civil Defense:核シェルター仕様) となっています。難易度の高いシェルター仕様の換気設備工事は、なんと日本企業が請け負っています。

空港にも核シェルターがあります。